火星との交信記録

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県民投票に揺れる沖縄に、ツーリングに行ってきた

 

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ノンポリ沖縄を行く (拓)


これを書いている2019年の2月は、沖縄の普天間基地移転の是非が大きな関心を集めていて、沖縄では民意を問う県民投票が行われる。

芸能人が反対の意を表明したり、議員がハンガーストライキしたり、ニュースに辺野古の3文字を見ない日はないくらいだ。

これは、佐世保エンタープライズ入港、香港の黄色傘運動に続く一大政治イベントに発展するのではないかと考えた僕は、現地で実際に見てみることにした。ついでに沖縄を走った事がないのでツーリングもしてみた。

これはそんな記事だ。 

予め言っておくと、僕はノンポリだ。筋金入りのノンポリだ。

普天間基地移設(以下、辺野古問題)に関しても当事者でない以上、主張を持つ理由ないと考え、反対でも賛成でもない。

 

さて時は、1月26日。正月を北海道で過ごした僕は、ひと月の間に日本の南北端を走る事になる。

沖縄に行くのにはジェットスターを利用。土曜の早朝便で出発し、月曜の深夜便で帰ってくる2泊3日の旅だ。友人の拓郎ちゃん(以下、拓郎)との2人旅。

尚、拓郎のフィルム一眼のネガをデジタル化したものを、本文中で何枚か取り上げている。(それらの写真には 拓 と記載する)

 

【1日目】 

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今回は大阪と沖縄との往復にジェットスターを利用。

日本一手荷物重量に厳しいといわれるこのLCCに乗るにあたって、僕はかなりの荷物減量に挑んだ。流行りのUL(ウルトラライト)だ。 

バンドックソロドーム、ロゴスの夏用シュラフ、そしてケシュアのエアマット。

その他の小物は全て上着のポケットにin。

しかし、往復ともに荷物検査はなく、折角の減量も意味がなかった。

那覇に着くと、今回バイクをレンタルする店に荷物を預け市内観光。A&W(沖縄のバーガーチェーン)で昼飯を食い国際通りをぶらつく。天気は小雨が降ったり止んだりを繰り返し、肌寒かった。

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うまくもまずくもない、ご当地バーガーチェーンA&W

16時にレンタル屋に戻りバイクを回収。

普段乗らない車種にしようと思っていたので、アメリカンのマグナをチョイスした。

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錆だらけ

借りたバイクは錆だらけ。フロントブレーキの効きは微妙だったし、ニュートラルランプが着かなかったり、キーシリンダーの接触が悪くてメインキーが通電しなかったりと不満は多かったが、2日借りて8000円という内地では考えれない破格プライスなので目をつぶる。

拓郎のバイク(YZF-R15)も、タイヤにひびが入ってた。  

ちなみに、沖縄最安値をホームページ上で唄ってる店です。

 

58号線を北へ、折しも雨が降ってきていて、沖縄のアスファルトは濡れると滅茶苦茶滑ると聞かされていた我々はビビりながら走る。

那覇市内は、2輪は左の1車線しか走ってはならないというルールがあるのだが(標識にも書いてある)、みんな飛ばすのでそこまでストレスではない。

途中、米軍の放出品を扱う店に寄りながら向かう。

2件目で僕は衝撃的な商品を目にした...

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無造作に並べられた米軍のブーツ、それは全てダナー(アメリカの老舗ブーツメーカー、ゴアやビブラムなど、一流品の素材で作ってある)。靴底に貼られた値段を見ると、3000円とある...。

「安い...」気狂いのようにかったぱしから合うサイズの物を探す俺。

普段は足が大きくて靴探しに困る僕だが、アメリカ人サイズなのか最小でも27㎝まで。11R(29CM)が偏平足の僕にはぴったりだった。

ボロボロで靴底がつるつるになっていたティンバーを捨ててもらい履き替える。

思わずにやけてしまうほど履き心地が良い。

思わぬ掘り出し物にテンションが上がったまま、キャンプ場「あやかりの杜」にin。「ここをキャンプ地とする」した。この日の走行距離わずか22㎞。

あやかりの杜は普天間基地の近くにあるキャンプ場で、1区画100円。コインシャワー付きの高規格キャンプ場だ。

7Kg制限のため調理器具を持ってきていないので、テントを張り終えてから夕食を摂りにバイクを走らす。結局目についたレストランに入ったのだが、ここが最高だった。

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着席するとキャンドルに火が灯される

客層はアメリカ人が多かった。そして店内の装飾が、よくアメリカ映画で見るダイナーそのままなのだ。新婚夫婦が結婚1周年のお祝いに、ちょっといいレストランに行く。

そんな時に使われそうなスペシャルな空気が充満しているレストランだった。

油ギッシュな料理を食べ、お替り自由なアイスティーで口の油をとる。脳をふやけさせるほどうまい。

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あーもういちど行きたいです

帰りに、コンビニでオリオンビールを買う。キャンプ場でシャワーを浴びた後、眼下に広がる普天間基地の灯を眺めながら飲んで寝る。

夜は少し冷え込むが、肌寒い程度。17度comfortのシュラフでも、ヒートテックを着て着込んでいれば寒くなかった。 

早朝便で朝が早かったこともあってすぐに寝た。

 

【2日目】

相変わらず天気は降ったり止んだり。

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この区画で1人100円

晴れ間を狙ってテントを畳み、少し走って近くのA&Wで朝食。

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この日もうまくもまずくもない

この店は沖縄のA&W1号店とのこと。

朝食後、中村邸へ。沖縄独自の建築様式が残る古民家だ。この記事の冒頭の写真はそこで撮った。

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とにかく風通しが良い造り

中村邸は開放的な造りが印象的だった。床は畳だったが、これはいつの時代からなのだろうか?東南アジアのように板張りにならなかったのは理由があるのだろうか。

わざわざ調べる気にもならない疑問が脳裏を駆け巡る。 

中村邸を出た後、島の東側の海岸線を北上する。

この島の両岸は、小高い場所があれば両側が一度に見えてしまうくらいには近い。

つまり沖縄というのはかなり細長い島なのだ。この後331号線で島を縦断したが、ゆっくり走っても15分とかからずに縦断できた。そんな小さな島に米軍が基地を持っているのだ。そりゃ衝突も起きるわな。

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海中道路を見学。このあたりから晴れ始める。

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沖縄料理 てびち

辺野古の手前でローカルの食堂に入る。

てびちと呼ばれる豚足をとろとろになるまで煮込んだものを注文。薄味で、脂っこくてまずい。味が単調なので飽きる。ソーキソバはぼろぼろしてておいしくない。

単純に文化の違いなのだが(関西の薄口文化のように)、僕には合わない。拓郎も残す。

 

昼飯を食い走り出す、そしてそれは突然現れた。

キャンプシュワブ、ゲートの前には掘っ立て小屋のようなテントが建っていて、おっちゃんとおばちゃんが暇そうに座っていた。

バイクを止めて、テントに貼られたビラを見て回る。

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国道沿いに急に現れる

一通り見終わった。しかし、なんだかものすごい視線を感じる。視線の元に目を走らすと、フェンスの向こう、米軍基地内から軍警がバシバシ僕たちの顔写真を撮っていた。

写真を撮った軍警は、詰所の上司の元に戻り、撮れ具合を確認してもらっていて、なんだかそこだけ人間味があって面白い...って撮りすぎだよ!ほんとに一挙一動を、僕たちが移動するの併せて場所を変えつつ撮ってくる。

ムカついてきたので中指を立ててやると、一瞬引っ込むのだがまた出てくる。正直いい気はしない。

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道挟んで基地。シュワブキャンプ前のテント村。

フェンスの向こうの人も増えてきて居づらくなってきたので退散する(それが狙い?)。

しばらく来た道を戻り、海へと下る。

座り込みのテント村は国道沿いと、海岸の2か所にあり、海岸側も見ておく。

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フェンスの向こうは基地、即ちアメリ

写真を撮っていなかったのだが、海岸側には運動会で立てるようなテントが2つ建っており、ちょうどJRの労組のグループが活動家(他に柔らかい言葉が思いつかない)から説明を受けていた。僕たちも資料が必要かどうか尋ねられたが、断り、フェンスの位置を教えてもらい向かう。

正直、軍警の写真攻撃でテンション下がっていたので、そそくさと辺野古を去り北上。

途中、西側の海岸線に抜け、更に少し北上する。

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マングローブを見学 (拓)

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1日1回ステーキを食べることにした。2日目の夕飯。 

途中見つけたローカルレストランで夕飯。沖縄はステーキが安い。180gのコースで1350円。ごはん大もりにして幸せ。

その日は、道の駅「ゆいゆい国頭」の軒先にシュラフをひいて、「ここをキャンプ地とする」した。

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時には軒下で寝る

【3日目】

朝は鶏の鳴き声で目が覚めた。ヤギの鳴き声もする。

近くのファミマに買い出しに行き、朝食を取り出発。

朝の早い時間でも、薄手のグローブで寒さを感じない。やはり沖縄はあったかいのだ。

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南米感の漂う風景 (拓)

途中、キビ畑の中を走る気持ちの良さそうな一本道に入る。
走ってる僕を拓郎が撮ったのが上の写真だ。日本離れした光景に、現像から上がった写真を見て笑ってしまった。

沖縄最北端、辺戸岬。

北海道の宗谷岬と一緒で、最北端なだけで何もない。16時には那覇市でバイクを返さないといけなかったので、早々に切り上げ走り出す。

途中58号線の沖縄での起点を通る。

この道は、鹿児島から発し、海上を通り(地図の上は)、那覇市まで繋がっているのだ。

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だからどうしたって感じだと思う、普通の人には

こういうアジアンハイウェイ構想(アジアを1本の道で結びましょう、という構想。阪神高速ベトナムと繋がっている。)みたいな道にロマンを感じるのは僕だけだろうか?

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もちろん俺は嬉しい

ここでお世話になった58号線とは一旦お別れ。東側を南下する。

県道70号線というご機嫌ワインディングロードを走る。平日ということもあって快走。

途中オスプレイ基地建設現場と反対派が対峙する間を走る。

停車し反対派の話を聞く。昨日の軍警盗撮事件があったのでメットは被ったまま。

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対峙する両派を分ける県道70号線

警備しているのはALSOK。さすがに民間企業なので顔写真を撮るような事はしなかった。ので、調子に乗って反対派の人におすすめの記念撮影スポットで写真を撮ってもらう。

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オスプレイ基地、建設予定地に行ってきました

後は特に止まることもなく、あっという間に331号線。この道を使い西側に戻り、58号で那覇に向けさらに南下。

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ヤンバルと思ったらカラスの繰り返し

58号線は、流れこそいいものの特に面白みのない道なので割愛。

途中ステーキを食う。

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このA1ソースはご当地モノみたい

那覇には15時前に着いた。

ガソリンを満タンにし、バイクを返却。マグナはいいバイクだった。V型エンジンの鼓動と、回して楽しむ小排気量の魅力が1度に楽しめるバイクだと思う。

荷物を抱えてウロウロ、国際通りで土産物を買う。

国際通りから2本くらい奥の筋に、沖縄料理の居酒屋があり、その店先に「ハッピーアワー ドリンク3杯 一品付きで 1000円」と書いてあるのを見つけ、そこでフライトまでの時間を潰すことにした。

軒先に置かれたテーブルに座り、道行く人を眺める。

夏の夕日が街をやさしく包み、さざめきがビルとビルの間を流れる。すきっ腹に流し込んだビールがゆっくりと、神経をほぐしていく。全てが混然一体となって、完璧な調和をもたらしていた。その時、少しだけ僕はこの島が好きになった。

正直、2回目はないなと思ってたけど、その夕暮れの一瞬に完全に打ちのめされた。もう一度来たいとすら思った。 

本当に平和なひとときだった。

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そして、少々飲みすぎた僕は、感慨もなく関空行のシートに収まり。帰りの便ですら荷物の重さを計られなかった事に少し憤りを感じながら、持ってきた文庫本を読み終えた。

関空に着くと、終電に乗るべくターミナルを駆け出し、しかし日頃の運動不足がたたり駅までは息が持たず、それでも何とか最終便に滑り込み、旅を終えたのだった。

 

こうして、僕の辺野古を見たいという思いから始まった沖縄ツーリングは幕を閉じた。行くなら1月がベストシーズンだというのが結論だ。


おちまい

 

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本島北部のどこか