べトナムには朝の通勤時間帯だけ出店している屋台がある。
バイクで引けるサイズの車輪付きの物で、朝になるとどこからか現れて即開店している。燃料を積んでいるので、何かを繫いだりもない、オフグリッド店舗だ。
大体、交通量の多い大通り沿いの歩道で8-9時まで営業して撤収していく。
朝バイクで通勤すると気分は箱根駅伝の選手、沿道を埋める屋台が観客だ。
家の前大通りに出て目にする屋台は、寿司(謎)、カニスープ、弁当屋、ちまき的な物、コーヒー、ハンバーガー、コーヒー、おかゆ、コーヒー、コーヒー、そして職場に到着。この間バイクで3分くらい。麺類は持ち帰れないので(その場で買って職場で食べる人も多い)この時間の屋台では見ない。
僕は、毎日誰よりも早く職場に着き、そのまま裏口から出て裏手の屋台で朝食とお菓子の買い出しを済ませる。
チャオロンという、ホルモンおかゆを歩道に置かれた椅子に座って食べた後、コーヒーの売り子に合図をし、ふかしたサツマイモを買いに行く。サツマイモを買って戻ってくると持ち帰り用カップに入ったコーヒーが出来てる。
ある日、いつも通りラインに入ろうとしたら誰もいなかった。
あきらめきれずにちょっと歩いていると、いつもの筋とは違う場所で営業するお粥屋が見えた。
近寄っていくと、屋台の親父が電話を受けるのが見えた。一言二言話したかと思うと、全力で屋台を移動させる親父。
そこで合点がいったが今日は取り締まりの日なのだ。おそらく協力者の通報を受け、警察の接近を知ったのだろう。しばらくすると警察の車が通りすぎ、危機が去ったのを確認した屋台がわらわらと出てきた。
後日、コーヒーの売り子に聞くと、捕まった場合ワイロとして1万円程要求されるらしい。1万円といえばお粥100杯分だ。
これらの屋台、これだけ競争が激しく利益が出ているのかとか、警察が来る日をどうやって予め知っているのかとか、聞きたいことが一杯あるので今後掘り下げていこうと思う。
2020.9.24追記
再びコーヒーの売り子に聞く。警察には50万ドン(2,500円位)を月に支払っているが、取り締まりの日時が分かるだけで、捕まった場合上記の賄賂を再び納付する必要がある。たんたんと書いてるけど、大分ぶっ飛んでるよねこの国。それでも汚職指数の世界ランキングでは中堅どころ…
2020.10.3 追記
こっちの商習慣で、担当者がサプライヤーから1-20%のインセンティブを受け取れるという物がある。もちろん紙の上には上がってこない、また、これは合法でもある。日本だと賄賂だよね。
2020.11.05追記
007の確か「慰めの報酬」で、あえてテロリストが追跡しやすいようにパンくず(手がかり)を残し誘導するシーンがあった。
あたりをつけて道を曲がると営業していた。
が、警察来たりの一報とともに屋台ごと逃げる。
僕は買えたが、買えなかった人は朝飯ぬき。
おちまい