火星との交信記録

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ベトナム語で米袋【ベトナムツーリング中盤戦】

 若干寝不足のまま走り出す、ベトナムツーリング2日目の朝。

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宿の前、村のメインストリート

今日のハイライトの275号線は、ベトナム絶景ルート25選の1つだ。

コーヒーの山の頂上に村があり、同じような他の山頂の村との間を尾根伝いにこの道は繋ぐ。

登山用語では、稜線歩きと呼ばれるタイプの道だ。山の一番高い所歩くので、両側の景色を楽しみながら歩ける。それをバイクで走れるのだから当然のように気持ちいい。 

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両側はコーヒー畑

何個か目の村で、警察の検問の前を通り過ぎた。

その時はスルーだったが、これから先後ろに目立つバックパックを縛り付けてていては、停められて痛くもない腹を探られるかもしれない。

どうにかして、バックパックを隠さないといけない。 

というわけで、たまたま目についた農機具店の前に止まる。ここでなにか大きな袋を買ってバックを覆ってしまおうと考えたのだ。 

当然、英語なんか使えないのでベトナム語で伝えないといけない。

ベトナム語は声調言語だ、その声調の数は中国語を超える6つ。

声調というのは、日本語で言うと、「寝る」と「練る」は綴りは一緒だが発音する際の声のトーンで意味を分けてる。そのトーンのことを声調という。(知らんけどな)

ベトナム語にはそれが6つあって「ねる」という1つの綴りに6つの意味があるのだ。

僕はそれを完璧に使いこなし、「袋はあるか?」と聞いてみるのだが、どうも「袋」の単語が伝わってないようだ。伝わってないというか、そんな物ねぇよみたいな顔をしている。

はて、僕は日本で受けたベトナム語の講義を思い出そうと努めた。

確か、ベトナム人留学生のギー先生が「米袋のことをBaoといいます」といっていたような気がする。その時は、米袋なんて単語使わねぇよと思っていたが、今がその時なのではないか?

はたして、「Baoはあるか?」と聞くと店主は我が意を得たりと僕を奥につれていき、まさにバックパックがすっぽり入りそうで、おまけに少々の水も弾いてくれそうな「米袋」を出してきた。言い値の15円でそれを買い、バックパックそれで覆ってしまう。 

その間、店主はニコニコしながらそれを見ている。おそらく、最初で最後の邦人客だろう。

語学を学ぶ人たちへ、「知は力なり」。語彙力は武器だ。

 

次の25選ルートを目指して走っていると、どうも自分がダラットに向かっていることに気づいた。ダラットは1900mの山の上にある、植民地時代にフランス人が避暑の為に開発した土地だ。

観光地は避けたかったのだが、果たしてダラットへ続く峠道は、行楽客の車とバイクで大渋滞だった。そして標高を上げるごとにガンガン下がる気温。

測っていないけど、10度近くまで下がっていたはずだ。おまけに雨がぽつぽつと降り出し、そしてあっという間に土砂降りへと変わっていった。しばらく、木の下で雨宿りしていたが、状況が好転しないことを悟り、十字を切って飛び出す。 

もちろんダラットなんて興味ないので、素通りだ。

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インフラがまだ弱いベトナムは、ちょっとしたスコールで道が沈む

どうせスコールだからすぐ止むだろうという予測に反して、日が傾きその日の宿を心配しなくてはいけない時間まで雨は降り続いた。おまけに寒い。ベトナムで歯を鳴らす日が来るとは。

道はやがて下りに転じ、海へくねくねと落ちていく。 

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海へと流落ちる川のように、かすんで見えなくなるまで続いていく道を眺めて、俺は今日の宿どうしようと考え始めた。

あいかわらず学習能力のない男である。いや稀代の楽天家か。

グーグルマップで見ると、ニャチャンまで50㎞。ぎりぎり日没までに辿りつけそうである。 山を下り切る。夕日に照らされた田んぼの中を、家路につくベトナム人に交じり走る。 

ニャチャンはただの地方都市であった。ビーチがあるので観光で少し潤っているのであろう。ロシア語と中国語の併記されたメニューを見ながら、やきそばを食い、ビールを飲んで眠りにつく。

ベトナムの地方都市は退屈である。

泊まるならやっぱり田舎だ。 

今日は観光地を通ったという事もあり、ベトナム人のライダーにも多くすれ違った。

バイクこそスクーターだが、たまにコミネのジャケットを着てたりして、バイクで旅をする事を楽しむ(日常使いの延長ではない)というライダーがベトナムにも一定数いる事が確認できた。

 今日のルート。標高差あり、天候の変化あり、なかなかタフな行程だった。

 

おちまい